予算や保育園申し込み状況に関する開示請求を行ってみました

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 今回は、現在提出している中央区への開示請求について書きます。先日の記事の中で、このブログで今後やっていこうとしていることについて以下のように書きました。

「行政に関心を持ちましょう」と言ったところで、それでは具体的に何から始めるべきでしょうか。それは、ご自身の住んでいる自治体の中での、ご自身に関心のある施策がどのように行われているのかを調べてみることがもっとも良いのではないかと思います。その分野に関して、自治体がどのような目標を立ててどのような計画を立てているのか、それがどの程度実現しているのかを調べてみましょう。

 

わたしがこのブログでやろうとしていることは、これまで書いてきた「住民として行うべきこと」について具体的にわたし自身が取り組んでいくことにより、その一つのロールモデルとなることです。この取り組みは、わたしが現在在住している中央区を対象として行います。また、同じような関心を持った方が他の自治体でも同様の取り組みが行えるように、行政の仕組みや具体的な手続き内容についても紹介していきたいと考えております。多くの方にとってこれらの仕組みを理解することは困難であると思われるためです。

詳細はこちらの過去の記事をご覧ください。 

ninofku.hatenablog.com

  つまり、行政に関心を持つことの第一歩として、関心の持っている分野について自分の住んでいる自治体がどのように運営されているのかについて調べてみることをお勧めしました。そして、その一例として自分自身が在住している中央区に対して具体的に取り組んでいくことを述べました。この開示請求はその一環であり、今回はその内容や意図について書いていきます。

 

 

開示請求制度について

そもそも開示請求とはどういう制度なのか?

 まずは、開示請求のそもそものところから始めます。開示請求とはどういう手続きでしょうか。簡単に言ってしまえば、行政側によって公開されていない情報を見せてもらうことです。国であれ自治体であれ、白書や広報誌など様々な形で所有している情報の公開を行っていますが、その中に必ずしも住民側の求める情報があるわけではありません。そのような情報について所定の手続きを行うことによって、行政側からその情報を提供してもらう仕組みです。
 国と独立行政法人についてはそれぞれ法律がありますが、自治体については法律ではなく条例という形で独自に設定されています。わたしの在住する中央区でも「中央区情報公開条例」が定められています。ご自身の市の名称と「情報公開」などで検索すればすぐ出てくると思われます。

 

中央区の情報公開条例はこちらから。

情報公開制度のあらまし 中央区ホームページ

参考程度ですが、国の情報公開に関する法律はこちら。

行政機関の保有する情報の公開に関する法律

国の情報公開に関しては、総務省がおおよその仕組みを紹介してくれています。

総務省|情報公開制度|情報公開制度の紹介

 

どのような文書が対象となるのか?

 開示の対象となるのは以下のようなものです。この記述は中央区の情報公開条例からの文言ですが、おおよそ他の自治体も同じような内容です。

次のすべての要件に該当する文書、図画、写真、マイクロフィルムおよび電磁的記録が、原則として開示請求の対象になります。ただし、新聞や雑誌など、どなたでも容易に入手できるものは除きます。
a.実施機関の職員が職務上作成し、または取得したものであること。
b.実施機関の職員が組織的に用いるものであること。
c.実施機関が現に保有していること。

引用元) 情報公開制度のあらまし 中央区ホームページ

 

 一つのポイントは、紙での提供であるとは限らない点です。分かりにくい役所言葉ですが、上記の「電磁的記録」というのはパソコンで扱えるWordやExcelなどの文書ファイルのことです。これには2つの大きなメリットがあるとわたしは考えています。

 

① 開示手数料が安く済む

 1点目は手数料が安く済むという点です。情報の開示には手数料がかかることになっています。そもそも住民のものである行政にかかる情報を求めるという手続きに対して手数料が掛かるというのは若干釈然としないものの、そういう決まりとなっています。中央区における手数料は以下のとおりと定められています。

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 紙と電子ファイルで大きく手数料が異なってくるのは、「写しの交付」の場合です。紙であれば1枚につき10円手数料がかかります。100ページある文書であれば、それだけで1000円も掛かるということです。他方、電子ファイルであればいくつファイルがあろうがCD1枚に収まる限りは80円です。電子ファイルでの提供の方が圧倒的に安く済むということが分かるかと思います。

 

二次利用しやすい

 2点目は二次利用しやすいという点です。WordやExcelといった電子ファイルで提供されることにより、そこから文字情報を取得して例えばブログに掲載したり、その情報を元にグラフを作成したりといった二次利用がやりやすくなります。最近は「オープンデータ」や「オープンガバメント」といったキーワードの元に、情報開示に限らず行政機関が提示する文書などをこれらの編集可能なファイルにするべきという動きもあります。

 

どのような手順で請求を行うのか?

 それでは具体的にどういう手順で開示の請求を行うのでしょうか。一見取っつきにくいように思いますが、開示請求の方法は実に簡単です。開示請求書に必要事項を書いて、窓口に持っていくか郵送するかだけで終わりです。請求書の内容は以下のとおりです。中央区の様式ですが、自治体による違いはほとんどないと思われます。開示して欲しい内容がすでに決まっているのであれば、書類作成の手続きは15分もかからないと思います。

 

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 請求書を提出したら開示請求を受けた機関は、条例などに定められた日数以内に開示か非開示の決定を行います。この期間はその機関次第ですが、中央区の場合には15日以内と定められているようです(ちなみに国では30日以内)。
 なお、請求書の提出後は基本的に通知書を待つだけですが、記載の内容が何を求めているのか不明瞭である場合などには担当者から電話で問い合わせが来ることもあります。当然に掛かってくるタイミングは平日であり、多くの方は本業で対応できる余裕はないと思われますので、その場合には「電話は出られないこと」「メールアドレスに連絡が欲しいこと」を請求書の備考に書いておくと良いです。やり取りの証拠を残すという観点からもこちらの方がお勧めです。

 

わたしが今回開示請求を行っている内容

 おおまかに開示請求の仕組みを説明してきましたので、今回請求している内容を紹介します。以下の9項目で、「1)〜3)」は予算、決算に関するもの、「4)〜9)」は保育園入園の申し込み状況に関するものです。 

1) 平成28年度の予算書(個々の事業の予算額や使途が記載されており、情報公開コーナーで閲覧できる文書)全体の電磁的記録(Excel等の文字情報のコピー・編集が可能なファイル形式)
2) 平成27年度の予算書(個々の事業の予算額や使途が記載されており、情報公開コーナーで閲覧できる文書)全体の電磁的記録(Excel等の文字情報のコピー・編集が可能なファイル形式)
3) 平成27年度の決算書(個々の事業の執行額や使途が記載されており、情報公開コーナーで閲覧できる文書)全体の電磁的記録(Excel等の文字情報のコピー・編集が可能なファイル形式)
4) 平成29年度4月の認可保育所の申し込み状況(個々の保育所への希望者数が年齢ごとに記載された文書)の電磁的記録(Excel等の文字情報のコピー・編集が可能なファイル形式)
5) 平成28年度4月の認可保育所の申し込み状況(個々の保育所への希望者数が年齢ごとに記載された文書)の電磁的記録(Excel等の文字情報のコピー・編集が可能なファイル形式)
6) 平成27年度4月の認可保育所の申し込み状況(個々の保育所への希望者数が年齢ごとに記載された文書)の電磁的記録(Excel等の文字情報のコピー・編集が可能なファイル形式)
7) 平成29年度4月の保育園入園の申込における歳時クラス別の利用調整指数の分布(歳時クラス別で利用調整指数の点数ごとの申込者の人数が分かる文書)の電磁的記録(Excel等の文字情報のコピー・編集が可能なファイル形式)
8) 平成28年度4月の保育園入園の申込における歳時クラス別の利用調整指数の分布(歳時クラス別で利用調整指数の点数ごとの申込者の人数が分かる文書)の電磁的記録(Excel等の文字情報のコピー・編集が可能なファイル形式)
9) 平成27年度4月の保育園入園の申込における歳時クラス別の利用調整指数の分布(歳時クラス別で利用調整指数の点数ごとの申込者の人数が分かる文書)の電磁的記録(Excel等の文字情報のコピー・編集が可能なファイル形式)

 

 中身については以降で説明しますが、まずはわたしなりの開示請求のコツを示しておきます。請求するにあたっては対象の年度や文書について請求の内容は具体的に書いておいた方が良いです。これは相手の都合の良い解釈を招かないためです。形式として何を求めるのかについても要望があればしっかりと示すべきです。今回であれば求めるのは電子ファイルなので「電磁的記録」と明記しています。その上でさらに「Excel等の文字情報のコピー・編集が可能なファイル形式」とわざわざ書いているのは、紙をスキャンしただけのPDFを「電磁的記録」と抗弁されないための仕掛けです。

 

予算、決算に関するもの

 それでは中身の説明に入ります。「1)〜3)」は予算、決算に関する開示請求です。

1) 平成28年度の予算書(個々の事業の予算額や使途が記載されており、情報公開コーナーで閲覧できる文書)全体の電磁的記録(Excel等の文字情報のコピー・編集が可能なファイル形式)
2) 平成27年度の予算書(個々の事業の予算額や使途が記載されており、情報公開コーナーで閲覧できる文書)全体の電磁的記録(Excel等の文字情報のコピー・編集が可能なファイル形式)
3) 平成27年度の決算書(個々の事業の執行額や使途が記載されており、情報公開コーナーで閲覧できる文書)全体の電磁的記録(Excel等の文字情報のコピー・編集が可能なファイル形式)

 

 これらで求めているのは予算書と決算書です。名前のとおり、区の予算(何にお金を使うのか)と決算(何にお金を使ったか)に関する詳細な情報が記載されている文書です。なぜこれらを請求しているかというと、区政に関して極めて重要な文書であるにもかかわらず、実質的に公開されていないに等しい状態であるためです。今回請求している予算書、決算書は区の情報公開コーナーでしか閲覧することができません中央区のWebサイト上に予算、決算のページは存在するものの、掲載されているのは概要部分のみ)。そして、情報公開コーナーの利用時間は平日の午前9時から午後5時までであり、社会人が利用するのはほぼ不可能です。

 予算や決算は自治体の運営の根幹に関わるものであるにもかかわらず、このように中身の是非の前にそもそも公開されていないというのが現状です。この状況を改めるべく、これらの文書を開示請求することとしました。

 

保育園入園の申し込み状況に関するもの

 「4)〜9)」は保育園入園の申し込み状況に関する開示請求です。

4) 平成29年度4月の認可保育所の申し込み状況(個々の保育所への希望者数が年齢ごとに記載された文書)の電磁的記録(Excel等の文字情報のコピー・編集が可能なファイル形式)
5) 平成28年度4月の認可保育所の申し込み状況(個々の保育所への希望者数が年齢ごとに記載された文書)の電磁的記録(Excel等の文字情報のコピー・編集が可能なファイル形式)
6) 平成27年度4月の認可保育所の申し込み状況(個々の保育所への希望者数が年齢ごとに記載された文書)の電磁的記録(Excel等の文字情報のコピー・編集が可能なファイル形式)
7) 平成29年度4月の保育園入園の申込における歳時クラス別の利用調整指数の分布(歳時クラス別で利用調整指数の点数ごとの申込者の人数が分かる文書)の電磁的記録(Excel等の文字情報のコピー・編集が可能なファイル形式)
8) 平成28年度4月の保育園入園の申込における歳時クラス別の利用調整指数の分布(歳時クラス別で利用調整指数の点数ごとの申込者の人数が分かる文書)の電磁的記録(Excel等の文字情報のコピー・編集が可能なファイル形式)
9) 平成27年度4月の保育園入園の申込における歳時クラス別の利用調整指数の分布(歳時クラス別で利用調整指数の点数ごとの申込者の人数が分かる文書)の電磁的記録(Excel等の文字情報のコピー・編集が可能なファイル形式)

 

 ここで求めているのは、保育園入園にあたっての申し込み状況を知るためのもので、大きくは2つ求めています。

① 認可保育園の申し込み状況

 1つは認可保育園への申し込み状況です。この情報は現在も一応公開はされていますが、以下のとおり保育園ごとの申し込み状況が分かりません。保育園ごとの申し込み状況が分からないため、入園希望者はたとえば「どの保育園が人気なのか」「どの保育園が入りやすいのか」といった情報がない状態で申し込みを行わざるを得ません。

 

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引用元)保育園の平成29年4月(第1回)申込状況と4月(第2回)申込受付 中央区ホームページ

 

 これらの情報を開示しているかどうかは自治体によって異なるようです。台東区のように、特に開示請求なしにWebサイト上で保育園ごとの申し込み状況を公開している自治体もあります。 

平成29年4月入園申請状況(平成28年12月28日現在) 台東区ホームページ

 

 他の自治体で公開されている情報が開示できない理由はないと思われるため、開示請求してみることにしました。

 

② 保育園入園の申込における歳時クラス別の利用調整指数の分布 

 もう1つは歳児クラス別の利用調整指数の分布です。「利用調整指数」というのは保育園に入園するための優先順位を決めるためのポイントで、このポイントが高い家庭から保育園の割り当てが行われます。このポイントの分布を見ることにより、自分がどの程度の位置にいるのかについておおよそ理解することができます。この情報はそもそもWebサイトに公開されておらず、それゆえに保育園入園を希望する親は2月半ばの決定通知が届くまで座して待つしかありません。他方、この情報と先述の個々の保育園ごとの申し込み状況が公開されれば、早い段階で入園できそうかできなさそうかを判断できるようになります。

 

終わりに

 中央区の情報公開条例は、その目的として「中央区が区政に関し区民に説明する責務を全うし、区民の区政への参加を促進し、その信頼を深め、もって地方自治の本旨に即した区政の発展に寄与すること」を掲げております。この文言は情報公開の意義を良く表していると思います。

 一つには、情報公開が「区民に説明する責務を全う」するためのものであるという点。自治体の情報公開窓口やWebサイトに行けば行政に関する様々な情報が手に入りますが、それらはあくまで行政側が自主的に公開している情報であり、必ずしも住民が求めている情報であるとは限りません。情報公開という制度を設けることにより、自治体は住民への説明責任を果たすことができるようになります
 もう一つには、情報公開が「区民の区政への参加を促進」させるものであるという点。上記のとおり、自治体からの情報提供が完璧であるとは限りません。それは何かしら行政側に不都合な情報を隠しているという場合があるかもしれませんが、単純に住民側のニーズに気付いていないだけという場合もあります。いずれにせよこの説明責任のミスマッチを埋めるものが情報公開制度であり、この制度が住民の知る権利を保障しています。なぜ知る権利が保障されているかと言えば住民は単に行政サービスの「受け手」ではなく「参加者」である必要があるためです。日本国憲法の12条には「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。」という言葉があります。この「不断の努力」のための一つの手法として、情報公開の制度があるのです。

 

 今回は開示請求制度の概要と、わたしが提出した開示請求書の中身について書いてきました。現在、何度か中央区の情報公開の担当の方とメールでやり取りをしているところで、ほどなく情報提供をいただけそうです。この内容や今後の展開についてはまた別に書きます。

 

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