「待機児童ゼロゼロ詐欺」について、中央区での定義を確認してみました

待機児童のイラスト

 どうも、ほづみゆうきです。待機児童関係で新しいトピックがありましたので、乗っかります。わたしが気付いたきっかけは、ピコシムさんの以下の記事。

 

www.picsim-blog.com

 

 

【お勧め】中央区の保育園への入園を希望されている方は、ぜひ以下の記事もご覧くださいませ。過去2年分の当落状況を分析してます。

ninofku.hatenablog.com

 

「待機児童ゼロゼロ詐欺」とは

 横浜市などの一部の自治体が待機児童を大幅に減少させていることになっていたが、実態としては定義を変えていただけで、「入園を希望したけれども入れなかった人」は多数存在しているということ。以下のあいださんさんのツイートがその発端のようです。

 

 

 上記のとおり、待機児童とは異なる「保留児童」という新しい概念を作ることによって待機児童をゼロにするという悪魔的なアイディアがどこかで生まれてしまったようで、そのダークサイドにいくつかの自治体が陥ってしまっているようです。横浜市の言う「保留児童」の定義は以下のとおりです(強調は引用者)。

 

Q保留児童と待機児童ってどう違うの?

保育所に入所申込みをした結果、定員超過等により入所できなかった児童を「保留児童」といいます。その中から、国の指針に基づき、横浜保育室入所者等(※1~※3)を除いた児童のことを「待機児童」といいます。
待機児童数=保留児童数-横浜保育室等入所者数(※1)-育休取得者数(※2)-特定園等希望者数(※3)-主に自宅で求職活動をしている家庭数

(※1)横浜保育室、家庭的保育事業、幼稚園預かり保育、事業所内保育、年度限定型保育事業、一時保育・乳幼児一時預かり施設の利用者
(※2)育児休業中の家庭の児童
(※3)特定の保育園のみを希望する児童、近くに空きがあるにも関わらず入所を希望しない児童など

引用元)横浜市 こども青少年局 保育対策課 横浜市の待機児童対策

 

 ここで言う「保留児童」が世間一般に言われている待機児童と同じであることは明白であり、わざわざこのような新しい言葉を用いて実態と異なる印象を与えようとするのは極めて悪質と言わざるを得ません。

 ピコシムさんの調べによれば横浜市以外にも川崎市新潟市名古屋市北九州市熊本市なども同じような定義を用いて実態よりも待機児童の数を減らして公表しているようです。

 

中央区における「待機児童」の定義

 こういった内容を受けて、自分の住んでいる中央区の定義がどうなっているのかについて調べてみました。ざっとWebサイトを眺めてみて、見つかったのが「中央区子ども・子育て支援事業計画」という文書で、その第3章のPDFに以下の記述がありました(章ごとにファイルが分かれていて探しづらいです)。おそらくこれが中央区における定義かと思います。 

認可保育所への入所申込みをしており、入所要件に該当しているが、入所していない児童の数」から「認証保育所・家庭福祉員等で保育を受けている者、および近くに入所可能な保育所があるにもかかわらず、保護者の都合で入所しない者」を除いた児童の数(厚生労働省の定義による)

引用元)「中央区子ども・子育て支援事業計画」を策定しました 中央区ホームページ

 

 上記のファイルを見ても「保留児童」という概念は見当たらなかったので、中央区ではこのような隠蔽工作は少なくとも行われていないことが分かりました。もっとも、ここ数年は100人を超える待機児童を毎年出しているように待機児童の問題そのものにはまだ対処できていないのではありますが。ちなみに2016年4月時点での待機児童数は263名です。下記の通り保育施設や定員は着実に増えているものの、乳幼児人口がそれを上回る伸びを見せていることから待機児童数は減るどころかむしろ増えているというのが中央区の現状です。

 

f:id:ninofku:20170203001239p:plain

引用元)平成28年度第1回中央区子ども・子育て会議(平成28年7月15日開催) 中央区ホームページ

 

この悪質な言い換えのもたらすものとその対処

 問題を問題として正しく把握できていなければ、その対処ができないということはあまりにも明らかです。上記に挙げた「保留児童」の定義を導入している自治体では厚生労働省の調査の回答でも彼らの言うところの「待機児童」の数字を挙げているようで、そうすると調査結果全体としては実態の待機児童よりも圧倒的に低い数字が調査結果として現れてくることになります。そうすると、本来的には行われるべき保育園への支援が行われない可能性が出てこないとも限りません。

 その意味でこのような悪質な言葉遊びを住民の方々は絶対に許すべきではありません。どういった経緯でこのような言葉が生まれ、導入にまで至ったのかについて問い合わせるべきであると思います。最近のトレンドネタですので、地元の政治家の方に話をしてみれば喜んで対応してくれるかもしれません。方法はどうであれ、こういったことが二度と行われないように釘を刺すことをお勧めいたします。

 

 

 

 

Copyright © 2016-2018 東京の中央区で、子育てしながら行政について行政について考える行政について考えるブログ All rights reserved.