風疹を蔓延させないために、抗体検査&予防接種を行いましょう(中央区なら無料でできるよ!)

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 おはようございます、ほづみゆうきです。クリスマスですね。25日朝にプレゼント開封だと保育園通園に影響するので我が家は1日繰り上げでやったのですが、朝方枕元にプレゼントを置こうとしたら早速3歳の娘に見つかった駄目なサンタです(サンタの代理で枕元に置こうとしてたということで必死に説得)。さて、本日は風疹について取り上げます。風疹というのは風疹ウイルスに感染することで起こる病気で、体のだるさや発熱、赤い発疹、リンパ節の腫れなどの症状があります。この風疹が今年は首都圏を中心に大流行しています。過去10年のうち、今年は2013年についで2番目に多いという発表を国立感染症研究所が発表しています*1

 この風疹、子育てに関心のある方であればご存知の方も多いでしょうが、単純な症状だけでなく非常に厄介な特徴があります。妊娠中の女性が風疹に罹患した場合、胎児に感染して様々な障害をもたらす可能性がある点です(先天性風疹症候群)。このような悲劇を生まないためにできることは、予防接種を行って感染を防ぐことです。ある種、当たり前に感じることですが、実態として日本では予防接種が行われていない時期があり、それが今回のような大流行を生んでいるとされています。今回わたしもようやく中央区の助成制度を利用して検査をしてきましたので、ざっと概要をまとめた上で中央区の補助制度の内容とわたしの体験談、今後の課題について書いてみます。

なぜ風疹は大流行しているのか?

 早速ですが、なぜ風疹が流行しているのかと言えば、それは上記に書いたとおり日本では予防接種を行っていなかった時期があるためで、要するに抗体を持っていない人がそれなりに社会に存在しているのでひとたび流行りだすと感染が感染を呼ぶので大流行してしまうのです。

 その対象は以下の図のとおりです。この図は神奈川県のWebサイトから拝借したもので、年代によって予防接種のありなし、そしてその回数について示したものです。

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 上記のとおり、39歳以上の男性、56歳以上の女性は予防接種を受ける機会がなかったのです。30歳から39歳についても中学生のときに個別接種(自分で医療機関に行って摂取する)ということで接種率は低いとされています。一方で、それ以降の世代であれば幼児期の個別接種、さらに28歳以下であれば幼児期に2回接種を行うことになっています。その結果、実際の感染者は30歳以上(昭和62年生まれ以前)の男性に偏っているというのが現状なのです。それを示すのが東京都のWebサイトにある風疹罹患者の以下の年齢階級別のグラフです。

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自治体における予防接種の助成

 このような状況を受け、自治体では風疹の抗体検査と、抗体がないことが確認できた場合には予防接種を行う事業を行っています。東京都における各自治体の助成状況については東京都福祉保健局のWebサイト*2にあるPDFファイル「風しん抗体検査・予防接種実施区市町村一覧」にリスト化されています。以下は一部を切り出した画像です。

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 抗体検査と予防接種のそれぞれについて、助成の対象となる人、助成での自己負担額の有無について整理されています。対象者としてカテゴリ分けされているのは以下の3種類です。

① 妊娠を予定又は希望している女性

② 妊婦の同居者(要するに夫、その他同居するおじいさんおばあさんなど)

③ ①の同居者

 上記のとおり、妊娠に関係のある方が対象となっています(他方、それ以外の人は非対称)。要するに先天性風疹症候群を防止するための施策という位置づけであるのです。多くの自治体で対象者は以下の3つすべてですが、一部例外があります。東京23区で言うと目黒区だけは「① 妊娠を予定又は希望している女性」だけが対象で、「② 妊婦の同居者」と「③ ①の同居者」は助成の対象外となっています。その他、葛飾区は「② 妊婦の同居者」を対象外としています(どちらにしても、まったく理解不明ですね)。 

 また、自己負担額の有無についても多少違いがあります。抗体検査まではいずれの自治体でも無料ですが、予防接種を行えるかどうかは自治体の判断によるようです。東京23区で言えば以下に挙げる区は自己負担額を求めていますので晒し上げておきます。負担額の詳細は各自治体のWebサイトをご覧ください。大概は「○○区 風疹」でGoogle検索すれば対象のページが出てきます。

風疹の予防接種に自己負担額がある区

港区、新宿区、世田谷区、中野区、杉並区、足立区、葛飾区、江戸川区 

中央区の補助制度は?

 中央区の行政についてあれこれと文句の多いこのブログではありますが、風疹の抗体検査と予防接種に関して中央区の内容は決して悪いものではありません。対象者は上記の3つのカテゴリに対応していますし、抗体検査も予防接種も自己負担がありません。

中央区での実体験

 せっかく経験したので、一連の流れのイメージを持っていただくべく中央区でわたしがこの風疹の抗体検査の助成を受けた体験談をざっと書いておきます。手順は簡単で簡単に言うとこういった流れです。

1. 保健所で申請書を書き、受診するための用紙を受け取る
2. 発行された用紙を持って医療機関に行って、抗体検査を受ける
3. もう1度医療機関に行って、予防接種を行う

保健所で申請書を書き、受診するための用紙を受け取る

 まずは保健所に行きます。中央区では中央区保健所もしくは日本橋と月島の保健センターです。以下のリンクをクリックすればGoogleマップで開けます。

goo.gl

goo.gl

goo.gl

 このいずれかに行って、風疹の抗体検査を受けたい旨を伝えます。そうすると「中央区風しん抗体検査及び予防接種予診票兼助成金申請委任状交付申請書」という長ったらしい様式を渡されますので、これに記入します。印鑑を求められますので、この点だけ注意です(この何の担保も実質上得られない印鑑文化は消滅してもらいたいものですね)。中央区のWebサイトに申請書が掲載されています*3ので、あらかじめ印刷して書いておいて持っていくというやり方もあります。

 申請書には「かかったことがありますか?」という質問があります。分からなければ「不明」を選んでOKです。わたしもさっぱり記憶がなく親も覚えていないという状況だったので、あまり考えずに「不明」を選択しました。窓口で特にこれであれこれ言われることはありませんでした。

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 この他、この助成事業の対象者のどれに該当するかについての質問もあります。これもどれかに該当すれば良く、その選択についてあれこれ追加で聞かれる(例えば「本当にパートナーが妊娠を希望しているのか?」など)わけではありませんでした。男性であればまだパートナーが妊娠していなければ①、妊娠していれば②です。

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 この申請書を書くと、医療機関で抗体検査を受けるための用紙、「中央区風しん抗体検査及び予防接種予診票兼助成金申請委任状」*4がもらえます。申請書を書いて数分程度でもらえました。また後日来る必要があるといった面倒はありませんでした。

発行された用紙を持って医療機関に行って、抗体検査を受ける

 検査のための用紙をもらえたら、これを持って病院や診療所といった医療機関に行きます。抗体検査と予防接種の助成対象となる医療機関はこの用紙と一緒にもらえますし、中央区のWebサイト*5でも確認することは可能です。一部の画像を貼っておくとこんな感じ(京橋・月島地区の方)。機関の名前と場所先、土日に空いているかどうかが分かります。

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 抗体検査の段階でどこまで必要かまでは読み取れませんでしたが、医療機関によってはワクチンが足りなくなるということもあるようで、上記の一覧の欄外には「ワクチン在庫状況等について、事前にお電話等でご確認ください」との注意書きもあります。

 わたしの場合は最寄りの病院に連絡して事前に予約が必要かどうか電話してみて、不要ということだったのでその足で抗体検査に行くことができました。それなりに土曜日やっている医療機関もありますので、平日は休めない人であっても行かない行けない理由にはなりません。

 

 抗体検査は、注射何本分かの血を抜かれるだけでした。その後に検査の結果で一定の数値を超えたかどうかで抗体のありなしを判断すること、その結果が分かるまでおよそ1週間程度かかることなどの説明を受けて検査はすぐに終了。待ち時間を除くと10分もかかりませんでした

 なお、最初に保険証は提示したものの、支払いは一切ありませんでした。一旦自分で立て替えておいてあとで申請とかになると絶対忘れてしまったりしますが、そうではないので安心です。

もう1度医療機関に行って、予防接種を行う

 最後に予防接種です。1週間程度過ぎたあたりで再度同じ医療機関に行って抗体検査の結果を聞きます(ちなみに、検査の結果を知るだけなのだからとダメ元で電話で結果を聞くことはできないかと打診してみましたが駄目でした)。

 そこで検査結果が一定の水準を超えているようであれば予防接種の対象となります。わたしの場合、幸いながら抗体があったようで予防接種はしませんでした。参考までに公開しておくと、こんな紙がもらえます。

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今後の課題

 冒頭にも書いたとおり風疹は生まれてくる子どもに障害を背負わせることになりかねない恐ろしいものであって、このような助成事業によってその被害を軽減できることは素晴らしいことです。とはいえ、現状の仕組みに何の問題もないわけではありません。いくつかの風疹の予防接種に関する記事を見るに、主として以下の2点が今後の課題として挙げられるのではないかと考えます。

1. 費用負担の自治体間格差

 東京の中でも自治体によって費用負担の考え方は一様でありません。自治体ごとの年代別接種率のデータが見つかりませんでしたので推測でしかありませんが、自己負担があるとなれば足が遠のくというのは人情でしょう。予防接種を行うことが本人以外の利益にもつながるのであれば、そこに自己負担を求めるというのはおかしなことと思います。

2. 妊娠に直接関係のない方への助成

 現状の助成制度は、あくまで妊娠している方もしくは希望する方の同居人など、直接妊娠に関係する方のみを対象としています。しかしながら今回のようにひとたび大流行してしまうと、対象をその範囲に指定することは意味が薄れてしまいます。なぜならば、電車や商業施設など様な場所ですれ違うまったくの赤の他人からの感染することも十分に考えられるためです。

 となると解決策は、対象をより広げることです。妊娠に直接関係しているかどうかは問わず、予防接種を行っていない世代を対象として助成を行うことです。

 

 これらについては厚生労働省が期間限定ではありますが実施しようとしているようです。「平成31年~33年度末までの約3年間、抗体検査を含めた費用を原則無料」で「39~56歳男性を公的な予防接種の対象とする」施策を行おうとしているという報道がありました*6。大流行して大変なことにならないと必要性が分からんのかと突っ込みたい気持ちはありますが、このような策を打つことは歓迎です。この3年を経て抗体保有率がどの程度向上したのかを見極めつつ、必要があれば期限を延長するなどして風疹の流行防止に取り組んでいただきたいと思います。

最後に

 今回は風疹の抗体検査と予防接種について、中央区でのわたしの実体験も踏まえて書いてきました。繰り返しになりますが、自分が予防接種したかどうか分からない人たちは速やかに自治体の窓口に行って助成のための用紙をもらって、その足で医療機関に行って抗体検査(そして予防接種)を行うべきです。それだけで誰かの子ども(自分の子どもかもしれません)が障害を抱えるリスクを減らすことができるのです。

 わたしも今回実際に体験してみましたが、これを見れば分かる通りそれほどややこしいことでないことが理解できるでしょう。中央区をはじめ、多くの自治体では費用も一切かかりません。医療機関に依りますが、土日やっているところもあります。男性の皆さん、行かない理屈を考えているよりも行った方が早いです。

 1つだけ面倒だと感じたのは、2回病院に行かなければならない点。抗体検査を行ってから検査結果が分かるまでには1週間程度かかりますので、再度その結果を聞きに行く必要があります。そうすると若干間が空くこともあって別の予定が入ってしまったり、そもそも行くことを忘れたりということが生じかねません。わたしも自身の予定があったり妻側に予定があって行く余裕がなかったり単純に忘れたりということで結局3週間くらい間を空けることになってしまいました*7

 ともあれ、今回検査を受けたことで、自分が原因で他人の健康を害するという危険性はないということが分かったのは大きな収穫でした。この記事をご覧になった方が、この風疹に関する問題に関心を持ち、「まずは抗体検査を受けてみよう!」「パートナーに受けさせてみよう!」と思うきっかけになれば幸いです。

 

 

*1:風疹大流行 患者2586人「過去10年で2番目に多い」昨年比28倍 | ハザードラボ

*2:都内の風しん抗体検査事業及び予防接種事業の実施状況 東京都福祉保健局

*3:先天性風しん症候群対策(風しん抗体価検査及び予防接種費用助成) 中央区ホームページ

*4:手元にもうないので正式名は覚えていないですが申請書から察するに、きっとこの名前のはず。

*5:先天性風しん症候群対策(風しん抗体価検査及び予防接種費用助成) 中央区ホームページ

*6:風疹予防接種の対象拡大へ 39~56歳男性が3年無料に - 産経ニュース

*7:抗体検査を経るとこういう面倒もあること、最初から予防接種をしても抗体がある場合には意味がないだけということで、抗体検査なしで最初から予防接種をすれば良いという考え方もあるようです。わたしはもちろん素人なのでよく分かりませんが、それによってインフルエンザなどでたまに生じるワクチン不足のような問題がないこと、医療費が過大に増えないこと、そしてこれによって接種率が大きく上昇する見込みがあるのであればこれもアリなのではないかと思います。

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