東京都中央区の待機児童問題。この不毛なイス取りゲームを我々の世代で終わりにしませんか?

 はじめまして。ほづみゆうきと申します。わたしは子どもの社会問題に取り組むNPO法人で勤務している37歳の男性です。元々文部科学省に勤めていましたが、仕事と家庭の両立のために転職して、現在に至ります。

 

 プライベートでは東京都中央区に住んでいて、3歳と0歳(もうすぐ1歳)の子どもの父親でもあります。

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 わたしは、皆さんにぜひ伝えたいことがあります。それは、中央区の待機児童に関する問題についてです。待機児童とは、保育園への入園を希望しているにもかかわらず、定員が足りないなどの理由により入園できていない子どものことです。

 

 2018年4月時点での日本の待機児童数は、およそ2万人。そして、中央区でも188人の待機児童が出ています。 

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わたし自身の経験

 わたしがこの問題を解決したいと強く思っているのは、わたしも当事者の1人だったからです。

 

 2016年の3月15日の朝5時、わたしは絶望のさなかで区の施設の前に立っていました。認可保育園は全て落ち、認証保育園を希望しても連絡がなく、最後の手段として区の一時預かり保育を予約するためです。

 3月でもまだまだ朝は寒く、近くの自販機で買ったコーヒーで手を温めながら待ち続けたことを今も覚えています。

 受付が開始される9時までの間、ずっとそこでわたしは考えていました。なぜこんなことをやっているのだろうと。中央区は決して貧しい自治体であるわけでもないのに、なぜ必要とされている行政サービスが十分に提供されないのか

 

 この経験から、この待機児童の問題について関心を持ち、どうすれば解決できるのかについて考えるようになったのでした

待機児童を解決するべき理由

 待機児童の問題は、椅子取りゲームのようなものです。十分な数の椅子が用意されていないために、産前産後で本来は家族でゆっくりしたい時期に「保活」という競争に駆り立てられて多くの親が疲弊しています

 

 また、この問題というのは、いざ当事者となった場合には単に子どもが預けられないというだけで完結するものではありません。子どもを預けられないとなれば、どちらかの親は仕事を続けられなくなります。育休が続くことによって会社から離職を促されることもあり、最悪の場合には職も失いかねません

 

 職を失うということは、家庭にとっては経済的な安定性を失うことだけの問題でもありません。これまでの社会人としてのキャリアを捨てるという意味で、親の個人としての尊厳を失わせることです。さらには、社会にとっても人不足と言われる世の中で労働力が減るという意味で大きな損失となるものです。

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 わたしは、この不毛な椅子取りゲームを我々の世代で終わりにしたいと考えています。

 

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中央区の待機児童の現状

 中央区の現状についてお伝えします。中央区は東京23区の中でも、特に保育園に入りにくい区です。待機児童数で見ると、23区のうちで7番目に待機児童が多い自治体です。

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 しかし、実際にはこの順位が示すよりも状況は深刻です。待機児童の割合(保育サービスを利用している子どもに対する待機児童の割合)という観点で見ると、人口が少ない中央区はより悪い結果となるためです。この割合で見た場合の中央区の順位は下から3番目*1

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 こちらは世田谷区との比較のグラフです。直近3年間で見ると、待機児童数でトップである世田谷区よりも中央区の待機児童の割合は高いのです

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どうすれば、この問題を改善できるのか?

 それでは、どうすればこの問題を解決することができるのでしょうか。わたしの考える点は2つです。

① 保育サービスの必要量を把握する

 まずは、正しく保育サービスの必要量を把握することです。つまり、どの程度の家庭が保育園を利用したいのかについて正確に把握するということです。現在も中央区では利用希望を推計して、その結果を受けて保育サービスを整備しているのですが、現状のとおり待機児童を解消するには至っていません
 この大きな理由は需要を過小に見積もっている点です。このグラフは、中央区の計画上での1〜2歳児の保育サービスの需要と実際の需要を比較したものです。

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 また、長期的な展望も不可欠です。日本全体で言えば少子化の影響で保育園の需要はあと数年で減るようになると言われていますが、都心部においては保育サービスのニーズは今後も増え続けます。わたしの推計では、中央区の保育ニーズは2020年時点から2040年までに68%も増加する見込みです*2

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 2040年となると今から21年後ですので、今の子どもたちが家庭を築き始める時期かもしれません。想像してみてください、20年後にも「待機児童」という言葉が残り続け、あなたの子どもたちが産後間もない時期に「保活」というくだらない競争に駆り立てられることを。

 したがって、眼の前のあと数年をどうやって乗り切るか、という考え方ではなく、今後20年は少なくとも続いていく問題という認識を持った上で、対策を行っていく必要があるのです

② 必要とされる保育サービスを十分に供給する

 正しく保育サービスの必要量が把握できたら、次はその必要量だけ保育園などのサービスを供給していくことです。現状は多くの待機児童を出しているとおり、不十分です。 

 

 様々な解決策が考えられますが、一つのアイディアは小規模保育事業を充実させることです。他の自治体と比較して中央区で特徴的なのは「小規模保育事業」の定員が少ない点です。小規模保育事業とは、0-3歳未満児を対象とした、定員が6人以上19人以下の少人数で行う保育です。

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  保育サービス全体の定員に占める小規模保育事業の割合を見ると、中央区では1%程度。他の自治体からすると低い水準です。

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 中央区における待機児童の年齢別での内訳は以下のとおりで、0歳児から2歳児までが大半を占めています。つまり、中央区小規模保育事業を積極的に導入すれば、待機児童の問題は大きく改善する可能性があるのですf:id:ninofku:20190409072115p:plain

待機児童解消のために必要なもの

 これまで書いてきたとおり、待機児童の解消のために必要なのは保育サービスの必要量の正確な把握と、その必要量に基づいて着実に供給を行うことの2点です。つまり、何をやれば待機児童の問題を解決できるかについての方法はすでに分かっているのです。
 事実、たとえば東京23区でも待機児童を解消した自治体は存在します。千代田区はゼロですし、ここ最近で大きく改善したのが豊島区と杉並区です。2013年時点では中央区よりも待機児童が多かったにもかかわらず、2018年4月時点でどちらの区も待機児童ゼロを実現しています。行政の取り組みの本気度次第で、都心部であっても待機児童ゼロは実現可能なのです

 ただし、これらを実現するためには、行政に積極的に働きかけて、その計画の進捗を厳しくチェックしていくことが必要です。行政側からすると、コストの嵩むこれらの対策を積極的にやろうとはしないでしょう。このような相手に対して、「当事者の声を届ける」だけでは残念ながら無力です。

 これを本当に成し遂げるためには上記のように客観的なデータを積み重ね、そのデータに基づく分析結果をもとに行政と対等に必要性について議論していくことが不可欠です

 ほづみゆうきは、客観的なデータとそれに基づく分析で行政を変えていきます。この記事で紹介してきたグラフは、わたしが東京都や中央区のWebサイトなどから手に入れた数字をもとに、わたしが自分自身で作成したものです。

 わたしには、これまでの行政マンとしてのノウハウに加え、今回の記事で紹介してきたようなデータの分析をこのブログで2年以上積み重ねてきた知識と実績があります。(ぜひ、他の記事もご覧ください)。

  

 中央区の待機児童を解消するために、一つの大きなチャンスがあります。現在の「中央区子ども・子育て支援事業計画」の計画期間が今年度(2019年度)で終了し、来年度は2020年からの5年間の子育て政策のあり方を決める計画の策定が行われる点です。

 

 この計画をより実効性のあるものにすることができれば、待機児童の状況は大きく改善する可能性があります。他方、現状の計画と大差ない内容のままであれば、少なくともあと5年間は待機児童などの問題が本格的に解消することは困難になってしまいます。これからの5年間のために、今行動する必要があるのです

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ぜひ皆さんのお力添えをお願いいたします!!

 

ほづみゆうき 

 

*1:この指数についての詳細は以下の記事をご覧ください。

 

ninofku.hatenablog.com

*2:国立社会保障・人口問題研究所の人口推計日本総研の推計による今後の女性の就業率のデータを用いた推計

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